第一日目
われわれの様に特殊な作業を伴う工事はぎりぎりの見積、工期は厳禁です。今日つくづくそれを感じました。
3日間の工期で何とか納まるだろうと思っていた現場(静岡県)に朝5時出発で向かいました。
到着早々現場監督さんからの指示は「浴槽の妻手が変更になったから!図面のサイズでは入らなくなっちゃったから15cm程度詰めて下さい!」というものでした。
これは大問題です。
確かに現場で組立て、設置するという約束ですが、浴槽自体の寸法が変わるというのは話が違い過ぎます。なぜなら浴槽の妻手と長手はホゾで組み合わさっているからで、特に今回のような大きなお風呂の場合は水圧も大きくなるため小さなお風呂よりもそれは複雑です。
私はお断りしようかと喉まで出掛かりましたが、しかしそこで職人和田さんのお言葉、「何とかしなきゃしょうがないでしょ!」...
神様のようなお言葉です。
そうは言っても、これから既存のホゾを含む妻手の一方を切ってまた新たにホゾをつけるという気の遠くなるような作業を現場の制約された時間の中で行わなければなりません。時間のロス覚悟で仕事を始めます。現場は新築ホテルの9階、今日ちょうど足場が外れたということで防護柵がありませんでした。うっかりするととんでもないことに。(お昼から慌てて監督さんサイドで簡易の手すりをつけてくれました。)
今回のお風呂はとても大きいので最初底板を決めてから長手、妻手が絡み合った側板を合わせます。底板をあわせている間に和田さんは妻手の再加工を行います。
想定外のことですので道具は揃っていません。丸鋸とノミだけで工場で加工したとおりに刻んでいきます。私から見れば神業ですね。
それでもお昼から半日かかってしまいました。何とか新しく切ったホゾを仮組だけして1日目を終了。